シンボルの調べ 12 射精は悪?

シンボルの調べ

生理現象の射精

男性の場合は早い人で10歳頃から、平均でも13歳前後で精通(男子が初めて射精すること)を経験します。それは就寝中に無意識のうち射精してしまう「夢精」によるものと、自らペニスを刺激して自発的射精をさせる「マスターベーション」があります。日本性教育協会による調査によると夢精で経験した精通とマスターベーションで経験した精通の割合は半数でした(正確には夢精での精通経験のほうが若干数多い)。

マスターベーションで精通経験した男性は夢精が無経験という場合もあります。夢精に達するには精子や精液が体内許容値(蓄積限界)を超えなければ起きないからです。マスターベーションによる性的快感を先に学習した場合、定期的(あるいは町日)マスターベーションで射精するため夢精を経験する事がありません。但し意図的にマスターベーションを長期間行わないと夢精は起こります。なお、生殖器が成熟し成人になると長期禁欲をしても夢精は起こりにくくなります。射精は性的に成熟した男性の生殖機能に不可欠な工程です。

本能的に行う自発的射精

多くの男性は思春期前後でマスターベーションによる性的快楽を経験すると本能的に周期的なマスターベーションによる射精を行うようになります。

男性が定期的にマスターベーションする理由は主にストレス解消です。射精に至るまでの過程および射精時に得られる強烈な性的快感を得るために行います。射精に至るまではドーパミンやテストステロンが大量に分泌されますが射精によって精液が体外に放出されると今度は脳下垂体前葉からプロラクチンが大量分泌され性的興奮は一時的に低下します。同時にエンドルフィンが分泌されることで精神的満足感やリラックス効果が得られます。射精時には幸福感やリラックス感をもたらすホルモンが分泌され、ストレスホルモンが低下します。そうした性的快楽とストレス解消の双方が行えるため男性はマスターベーションを自然と周期的に行われます。

なお、女性の場合もマスターベーションを周期的に行う傾向があります。23~33歳までの女性を調査したところ45%が週1度以上のマスターベーションを行っておりました。また80%の女性が月に1度以上はマスターベーションとしているという結果でした。女性の゛マスターベーションする理由も性的欲求を満たすためが最も多く次いでストレス解消やリラックス効果となります。

「射精は悪」だと広まった原因

多くの男性の定期的に射精する行為はきわめて自然な行為といえますが、一部には射精を行う事は良くないあるいは悪だといった情報もあります。なぜそうした情報が広がってしまったのでしょうか。

射精そのものは直接的に身体に悪いという事はありません。しかし昼夜を問わず性的快感を求めるあまり、頻繁な射精をする事で結果的に日常生活に支障が起こって生活バランスを崩してしまいます。不規則な生活では体内ホルモンの分泌が乱れてしまい結果的に健康な身体を保てなくなります。それが極端な解釈によって「射精は身体に悪い」になったと考えられます。それを助長するように一部のコミュニティなどではオナ禁(マスターベーションそのものを我慢する行為)は身体に良い影響を与えるといった誤った情報が広まるようになりました。

乱れの無い規則正しい生活スタイルを維持できる範囲内であればマスターベーションや性交によって射精を頻繁に行っても身体に悪影響を及ぼす医学的根拠は存在しません。むしろ適度な射精は精神的安定に必要な行為でもあります。また過度に射精する事で薄毛になるといった情報にも根拠はありません。薄毛になる原因は悪玉男性ホルモンともいわれるジヒドロテストステロン(DHT)ですが、射精をし過ぎてDHTが過度に分泌される事は無いそうです。

テストステロン値の変化

資料表グループ2のように射精をずっと行わないと6日経過からテストステロン値は上がるどころかわずかに下がってしまいます。しかし7日経過後に射精を許されていたグループの場合は6日が経過すると一気にテストステロン値が上昇します。しかも射精後のテストステロン値はグループ2より高い状態を保っています。オナ禁をすればするほどテストステロン値が上がるといった情報が間違えている証明です。

現実的なオナ禁(射精を我慢)する期間

年齢や体力による影響もありますがWHO(世界保健機関)による発表では平均的な禁欲期間は2~7日を推奨しています。但し精子の質(高い運動性や妊娠率の高い精子)そのものは禁欲期間1日が優れていました。さらに、性行為で1度目の射精後にインターバルを置いて2度目の射精のほうが量は少なくても質の良い精子でたったという研究結果も出ています。

精子の質が悪化する期間は7日以上というデータがあります。禁欲期間(射精しない期間)が7日以上を経過すると体内で蓄えられた精子は古くなってしまい活性酸素を発生させます。すると正常な精子にまでダメージを与えてしまうことで精子のDNAが断片化します。その結果、精子の質が全体的に低下して妊娠に適さない状態になります。

中高生が1日に何度もマスターベーションで射精する行為は思春期前後の一時的な性欲の高まりで珍しくありません。しかし成人を過ぎても生活に支障を来す状況で毎日長時間に渡って何度もマスターベーションで射精する行為は性依存症であり心療内科による治療が必要になるそうです。

自身に合った適度な禁欲期間を設けてマスターベーションや性交で射精する事は精神的にも安定をもたらし活力にも繋がりますます。